新制度「第二種特定外来生物(外来第二種)」とはなにか?

アメリカザリガニ

外来生物法が改正され、新制度「第二種特定外来生物(外来第二種)」が誕生。アメリカザリガニやミシシッピアカミミガメが指定され、2023年から法規制されます。「第二種特定外来生物」とはなにか、制定の経緯や規制内容について説明します。

※これは新制度の予定稿です。現時点の報道を元に書いていますが、確定情報が出次第更新します。

追記:アメリカザリガニは新制度ではなく「特定外来生物」として規制することに決定しました

2022年3月1日、外来生物法を一部改正する法案が閣議決定されました。今国会に提出、可決成立を目指します。

以前の中央環境審議会の答申では、アメリカザリガニ・ミシシッピアカミミガメまわりに「新たな規制の仕組み」が必要としていました。これが種の保存法「特定第二種」的な新制度の可能性もあるとして、本記事のような予定稿を書いたわけですが、外れました。

法案を読むと、アメリカザリガニは、あくまで特定外来生物として規制し、その代わり飼育・譲渡に関する適用除外規定を設けることになっています。考えてみれば、両種の特定外来生物指定のハードルは、飼育個体が大量遺棄されることだけであり、大枠は特定外来生物でよいわけです。

そして、両種程度しか該当するものがいない…となると新制度を設ける必要はないという判断にいたったものと思われます。

略称は「第二種特定」「第二種外来」「外来第二種」のどれになるか

特定外来生物法の新制度の名前は2022年1月時点では、正式に発表されていません。既存制度が「特定外来生物」であること、種の保存法の「特定第二種国内希少野生動植物種(略称:特定第二種)」との関係から、名称・略称はだいたい予測できます。つまり、第二種/特定/外来生物/の組み合わせで構成される、ということです。

略称を「特定第二種」とすると種の保存法と紛らわしくなります。また「特定」という単語も「特定第二種」側で使ってしまっています。そうすると「第二種特定」は使いづらいのではないでしょうか。

残る略称候補は「第二種外来」「外来第二種」ということになります。個人的には「外来第二種」かなと。

外来生物法の「第二種特定外来生物」が新設された背景

外来生物法は、侵略的外来種による生態系等への被害を防止する目的の法律です。ヒアリやブラックバスなどがすでに指定されてますが、これにアメリカザリガニとミシシッピアカミミガメが加わることになります。

従来、アメリカザリガニとミシシッピアカミミガメは、生態系等への被害が明らかでありながら「特定外来生物」に指定できていない二大巨頭でした。アメリカザリガニとミシシッピアカミミガメの指定が見送られてきたのは、「特定外来生物」では飼育が禁止されるため、指定時に飼育個体の大量遺棄など社会的な混乱が懸念されたためです。

特にミシシッピアカミミガメについては、2015年に5年後を目処に段階的に規制する方針が打ち出されながら、この点がクリアできず現行法制では対応できないとして断念されていたものです。一方で、被害が明らかでありながら規制されないのはおかしいという声もあり、今回の外来生物法改正につながりました。

特定外来生物と第二種特定外来生物の違い

外来生物法「第二種特定外来生物」の特徴は、趣味の飼育はOKとすることで、飼育個体の大量遺棄を避けられる点にあります。従来の「特定外来生物」では生きたままの移動・保管・飼育がNGでしたから、この点は大きな違いです。

外来生物法「第二種特定外来生物」は、希少種の保護を目的とする種の保存法「特定第二種」を参考にしています。従来の「国内希少野生動植物種」指定では研究目的の調査でも許可が必要だったり、捕獲の時点から違法になるなど厳しい法律でした。

種の保存法「特定第二種」では、売買は禁止しつつ研究や趣味目的であれば捕獲・飼育・譲渡などをOKにすることで、研究や保全に使いやすい柔軟な制度と評価されています。

行為特定外来生物外来第二種
輸入NGNG
生きたままの移動NGOK
販売目的の飼育・保管NGNG
趣味の飼育NGOK
売買・頒布NGNG
個人間の譲渡NGOK
放出(放流・遺棄)NGNG
特定外来生物と第二種特定外来生物の違い

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